手足、顔のふるえについて
手足のふるえ
「最近手が震える…」 お年寄りはもちろん、比較的お若い方でもそんな経験がある方は少なくないでしょう。震えることを「振戦」と呼びます。
手足のふるえには大きく分けると3種類あります。
振戦の原因は様々ですが、どのタイプの振戦なのかが、診断には重要です。
安静時振戦
力を抜いた状態で楽にしているときに震えてくる。
姿勢時振戦
ポーズをとった状態で静止すると震えてくる。
動作時振戦
物を取ろうとしたり、手を動かすと震えて上手に出来ない。
本態性振戦
特に原因のない、いわゆる“お年寄りのふるえ”です。遺伝的要素もあり、ご両親のどちらかから遺伝する場合もあります。基本的にはお年寄りの病気ですが、若くしてなる方もいます。「姿勢時振戦」と「動作時振戦」が目立ち、安静にしていると震えないことが多いです。緊張すると悪化し、お酒を飲むと改善することもあります。
生活に支障がなければ投薬の必要はありませんが、困っている場合には治療薬があります。
パーキンソン病
パーキンソン病とは、脳内にあるドパミンという神経伝達物質が不足する病気です。
ドパミンは運動調節に関わっており、これが不足することで、「手足が麻痺しているわけでもないのに上手く動けなく」なります。
代表的な運動症状は下の4つですが、その他にも自律神経の症状(立ち眩み、便秘、発汗障害)や認知機能低下など多彩な症状があります。
パーキンソン病は未だ根治はできませんが、症状を改善する治療薬は確立されており、早期に診断して治療を開始する必要があります。
顔面のふるえ
眼が疲れてくると瞼がピクピクと勝手に動いた経験がある方は多いでしょう。
多くの場合は、休むことで改善しますが、中には四六時中、目の周りや顔がピクついてしまうことがあります。これは眼瞼痙攣という病気です。
多くの場合は、顔面神経という顔を動かす神経に、近くを走っている血管が接触して起きています。治療は抗痙攣薬の内服や、「ボツリヌス毒素」という筋弛緩薬の注射を行いますが、改善がない場合には、手術をして血管と神経をより分ける治療があります。